御国

2003年10月26日
夕方、伊豆急行に乗って伊豆半島にいきました。
はじめて降りた伊豆熱川の駅は景色がとてもきれいで、夕暮れていく中、静かな街に白い波がとても映えて見えたのです。


長い坂道を下って、海沿いの国道へ出ると結構寒くて、わたしは薄着だったからちょっと後悔。
昭和の末期で時が止まったようなさびれきった町並みをぶらぶらと歩いて時間をつぶしました。


射的屋、人のいないパチンコ屋、閉じた劇場。


しばらく写真を撮ったり、湾岸のコンクリートに座ってひとりで鼻歌を歌っていたりして日が沈んでいくのを待ちました。


6時には暗闇につつまれてしまい、湾岸通りをときどきマラソンしていく人が通り過ぎていくたびに、その人たちの顔をまじまじと見てしまった。


7時をまわったころ、ようやく目の前のホテルから会いたい人が出てきました。


すぐにでも手を振って走っていきたかったけれど、なんだかそれも恥ずかしい気がして、発作的に岩陰に隠れてしまった。


電話を手にまわりを見回す彼の姿を見て、やっと顔だけ出して、にこっと笑って見せた。
気づいてくれるかな。


そうしたらすぐに目が合って、こっちに来てくれました。


知らない場所で会うのって初めてだね。
なんか、こういうのもおもしろいねって
ずっとずっとにこにこしながら話をしました。
本当は、かなり長いこと待っていて疲れちゃったんだ。
でも、あなたに会えたらそんなのふっとんでしまったよ。


来るときにどきどきしながら一人きりで下った長い坂道は、今度は二人でおしゃべりしながらのぼりました。
おんなじ道も、全然違って感じるんだね。
面倒な上り坂だって、ゆっくりのぼる分長く一緒にいられるって思ったら全然苦痛じゃないね。


駅について
じゃぁまたね!
ってバイバイ。

ガラガラの電車に乗って荷物を降ろしたら、電話。
今さっきバイバイしたばっかなのに。

「窓の外みて!」って。


窓の外を見たら、ホームの向こうに彼がいた。
窓を開けようとしたけど、あかなくてなんだか物足りない。

「窓開けようとしたやろ」
って笑われてしまいました。


電車がでなければいいのに。

会っていたのはたった数十分だけなのに、すごく長いことのような気がしました。


またひとつ、わたしの好きな場所ができました。
とっても素敵な思い出の場所が。

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