このごろ思うこと

2003年10月29日
わたしは写真を撮るのが好きで、人物より、動物や景色を撮るのが好きなのだけれど、
ちょうどきれいな山からの風景写真を見ていたら、神戸のビーナスブリッジというところから撮った写真を見つけて、去年のことを思い出した。

夏の前の暖かい日。
就職が決まって、
わたしは次の春から上京することになった。
ずっと関西にいるつもりだったから、ずっとこのまま変わらない日々でいるんだろうって思っていたけれど、
自分では就職と大切な人を天秤に掛けたつもりなどなく、どちらも自分にとって大切。という次元の違う比べられないものだった。
決まった仕事は子どものころからなりたかったもの。わたしは新幹線の運転士になることが夢だった。小学校の文集にも、中学の文集にもそう書いてあるくらい。
だから、内定をいただいて
彼の気持ちなんて考えもせず
自分が嬉しいのでいっぱいで
「わたしは運転士になるから!」
ってさっさと決めてしまった。


あの日、ビーナスブリッジに出かけて
お決まりの南京錠をはめて、
なんかお互いにメッセージかこうよってなって
「じゃぁ書いた内容は見ちゃだめね。」
って柱にふたりでそれぞれ書いたけど、
結局「見たい」ってなってふたりして見てしまった。
わたしは「またこの場所に二人でいつかこようね。」みたいなありがちな内容を書いていた。
彼は、
「俺が卒業してちゃんと仕事して、一人前になったら東京にお前を迎えに行く。」
って書いていた。
そのときは「上京物語の歌詞からパクったなー」なんて笑って言ってみたけれど、


そのときの気持ちはどんなんだったんだろうって今になって思うと、すごくすごく悔しくて、哀しくなる。
就職が決まってからの1年近く、わたしに「いかないで」といわないでいてくれてありがとう。
「いかないで」と言ったらきっとわたしは困っていた。

そして「いかないで」って言ってもきっとわたしは勝手に来ちゃっていたんでしょう。
選んだ道に後悔したことはほとんどなかった20年と少しの人生だけれど、失ってからは自分の身勝手さを後悔せずにはいられなかった。


思い出の場所や物事を見聞きするたびに、どうしようもないくらい昔に戻りたくてたまらなくなってしまう。


きっとそのうちそういうこともなくなっていくんだろうって思うけど。

今度、ひとりでビーナスブリッジに行こうって思う。
もうあの言葉は消されてしまっているかもしれない。
鍵だってどこにかけたか忘れてしまった。
だけど、ひとりでそこで考えてみたい。



わたしは、わたしは帰りたい。

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